ターミナル企画撮影

舞台は、太平洋戦争勃発を数年後に控えたニューヨーク・英国領事館。プリンストン大学に留学中の秀隆は、ジョージ6世の戴冠祝賀パーティーに招かれた。その席には、中国国民党総統である蒋介石の夫人、宋美齢の姿もあり、日本の侵略批判と中国への支援を訴えていた。 そして彼女の姪であるジュリアード音楽院留学中の愛玲が中国の悲しみの歌を歌う。その歌声と美貌に魅了される秀隆。ダンスが始まり、二人は運命に導か れるまま恋に落ちる。しかし秀隆は日本の総理大臣の息子、愛玲は中国高官の娘。彼らの愛に暗雲がたちこめる。
折りしも愛玲の故郷である上海へ日本軍による攻撃が開始され。両国の全面戦争は決定的になる。二人は引き裂かれ、別れの言葉を交わすこともなく、帰国の途につかなければならなかった。

中国との戦争は泥沼化。日本に帰国した秀隆は、総理大臣である父　九重菊磨の秘書官となるが、和平工作のため、愛玲を探しに単身上海に乗り込む。
アメリカの友人の助力で再開を果たした二人は、両国の和平実現のために協力することを誓い合うとともに、秀隆は愛玲に求婚する。許婚の存在を告白できずに苦悩する愛玲。
早速二人は、菊磨、蒋介石双方の親書による和平工作を開始する。一方、日本の軍部、憲兵隊は秀隆らの動きを察知し、親書奪還と和平工作阻止に動き出す。
秀隆が日本から持ち帰った菊磨の親書は、重慶にいる蒋介石へ無事渡る。そして愛玲も秀隆に渡すべく蒋介石の親書を手にして上海に戻ってきた。しかし、親書を受け取りに来た秀隆のメ眼目で、愛玲は仲間の裏切りにより銃で撃たれる。 和平実現を信じつつ、愛した男の腕の中で死んでいく愛玲。憲兵隊に取り囲まれた絶望の淵で、秀隆は彼女を抱きしめてつぶやく。「戦争は終わらない・・・日本は敗れるだろう・・・」と。

軍部に反抗した秀隆は、敗戦後、ソ連軍の手によりシベリア拘留となる。
かつての総理大臣の息子は、早期帰国の条件としてソ連の協力者になることを長年にわたって強要されるが、日本人としての誇りと、命を掛けて国を救おうとした愛玲への想いが、秀隆に拒否を貫かせる。しかし、それは、自らの命を危うくするものであった・・


同劇場にて
10月25日〜12月7日
「夢から醒めた夢」を上演