2008秋特大号(No.37)笹本玲奈さんインタビュー 12月に行われるライブショー、笹本玲奈10th Anniversary Show "Jewel"について伺 います。「Jewel」というタイトルにはどの ような意味が込められているのですか? いくつかの案の中から選ばせていただきまし た。宝石がキラキラしたイメージの言葉なので、 舞台の上で輝けたらいいなと思って。ほかに 「大切なもの」とか「貴重な人」とかいう意味も あるそうなので、私にとって大事な存在である お客様へのプレゼントであり、私にとって大切 なものをお見せするという意味も込めています。 どのような内容になりそうですか? デビュー10周年記念ということもありますの で、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『ウー マン・イン・ホワイト』など今までの出演作の中 で特に思い入れの強い作品の歌は入れたいなぁ と。構成・演出の玉野和紀さんは、私が10年前 『ピーターパン』のオーディションを受けたとき にダンスの審査員だったので、私を発掘してく ださった方でもあります。いまだに会うたびに 「玲奈は俺が見つけたんだ」とおっしゃっていま すが(笑)、私のいい所も悪い所もご存知の方な ので、私が何をやったら輝けるかというのを一 番理解して下さっています。歌いたい曲のリス トは出しましたが、玉野さんに細かい部分はお 任せしています。ミュージカルの曲が中心にな りそうです。 舞台経験は豊富な笹本さんですが、役として ではなくご自身をお見せするという公演は初 めてですよね。 そうですね。1人で何十曲も歌うので歌詞が覚えられるかとか、のどは大丈夫かという不安 はありますが、それ以上に歌だけでなくダンス もご披露できるというワクワクした気持ちが大 きいです。歌・ダンス・芝居の中でも特にダン スが好きなので、今回はたくさんのダンスシー ンを盛り込みたいと思っています。私がミュー ジカル俳優になりたいと思ったのは小学校3年 生のとき。ミュージカル『アニー』を観て「私 もやりたい!」と思ったのがきっかけです。す ぐにタップダンスを習い始め、その後ジャズダ ンス・バレエ・ヒップホップなど色々なダンス を習いました。今までなかなかお見せする機会 がなかったのですが、今回のライブショーを観 て「笹本はダンスも踊れるんだ!」と思ってい ただけるように頑張りたいと思います。演出の 玉野さんから、新しいチャレンジも取り入れた ら?と提案していただいたので、今までやった ことがないジャンルのタンゴのダンスシーンも 入れてみようかという話をしています。タン ゴってすごく情熱的で女性らしいセクシーな印 象もあるので、大人っぽいそういう一面もお見 せできたらと思っています。 『ピーターパン』で主役デビューを果たし、こ の10年で数々の大役を演じていますね。 私は元々ミュージカルファンだったので、あ の有名なシーンのあの歌を歌っているんだと思っ たり、憧れていた俳優さんたちと共演させてい ただいたりして、ドキドキしながら過ごした10 年間でした。毎日が夢中だったので、はたから 見ると地に足がついていない部分もあったかも しれませんが、ただ舞台に立てることが幸せで。 笹本玲奈さんのサインを抽選で3名様にプレゼント 詳しくは16ページをご覧ください。 今までさまざまな役を演じ、時代や年齢が違 う役を演じていく中で、その時代の女性が周り の人たちとどのように接し、どんな感情を秘め ているのかなどを考えて役作りをしてきました。 例えば『ウーマン・イン・ホワイト』のマリア ンなど、当時の女性はなかなか自分の感情を外 に出すことが許されなかったと思うのですが、 だからこそ芯は強いのかなって。音楽にその気 持ちを乗せて表現していくためには乗り越えな いといけないものが多く大変な部分もありまし たが、周りの方々の力を借りながら経験を積ま せていただきました。その結果得たものも多く、 私にとってターニングポイントとなる作品にな りました。 最近になって、菊田一夫賞に続き読売演劇大 賞をいただき、今までやってきたことが公の場 で認めてもらえるようになって、ただのファン のように楽しんで演じるだけではなく、これか らは女優として私が小学生の頃に観て感動した 思いを今度は私が与えていかないといけないん だという意識がぐっと高まりましたね。 ロングラン公演への出演も多いですが、どう やって新鮮さを維持していますか? 絶対に毎回同じ感情で舞台に挑みたくないな と思っています。一昨年のミュージカル『マ リー・アントワネット』という作品では、半年 に渡り150回以上同じ役を演じました。毎日演 じていると自分の中で役が固まってきてしまう ので、どうやったら毎回新鮮な気持ちで演じら れるかを考えました。今日はこうしてみようと か、明日はこういう気持ちを強く出して演じて みようとかを考えて、色々と心の動きを変えて みたら驚くほど新鮮な気持ちになりました。以 前、ジョン・ケアードさんという演出の方に「新 鮮さを維持するには、毎回3つ違う動きをやっ てみてごらん」と言われたことがあって、決ま りごとは変えられませんが1人のシーンの動き を少し変えてみたりもしました。それだけで生 まれてくる感情も全然違ったのでこれは新たな 発見でした。 ブログを見ると、ご家族仲がいいですね。 今は親元を離れて暮らしていますが、稽古な どで作品や役にのめりこんで集中してしまうこ とがあって、そういうときには家事が進まなく て……。そんなとき、電話で話していて大変だと言わなくても家族は私の状態に気づいてくれ ます。稽古場から自宅に帰ったら母がいて、溜 まった洗濯を片付けておいてくれていたりする こともあります。最近は家族の大切さをより感 じますし、支えてもらっているなぁと思いますね。お母様は元タカラジェンヌですよね? 先輩 女優としてアドバイスなどはありますか? 舞台の感想はよく聞くのですが、具体的なこ とは一切ないですね。私がやりやすいように、 そこは立ち入らないようにしてくれているのか もしれません。むしろ私が「あの歌どうだっ た?」と聞いても、よかったわよーという感想 だけだったりします(笑)。 私も宝塚(歌劇団)出身の方とよく共演する 機会があって思うのですが、宝塚の方ってドレ スの着こなし方がすごくきれいですよね。先日 ミュージカル『ルドルフ』という作品に出た時 に、初めて大きなドレスを着たので、宝塚のビ デオをすごく見ました。裾さばきや扇子の持ち 方などとても参考になりました。 今後、やってみたいことはありますか? 先ほどもお話しましたが、ダンスが好きなの でそういうものがお見せできるような作品にも 出られたらいいなと思います。来年の『回転木 馬』もそうですが、昔の作品は美しい曲があっ て、その中にダンスシーンも入っています。最 近は歌がメインのミュージカル作品も多いので、 歌はもちろんこれからも歌っていきたいのです が、そういうダンスシーンがあるような作品に 出る機会も増えてくるといいな。 この世界に入ってたくさんの方からお手紙を いただきますが、私の舞台を観に来てくれた子 供が「笹本さんの舞台を観て、私も女優になり たいと思いました」と書いてくれたときには 「やったー!」と思いました。これからもミュー ジカルファンとして、そして1人の女優として 日本のミュージカルをどんどん浸透させていき たいですし、ミュージカルに出たいという夢を 持つ子供がもっともっと増えたら嬉しいです。 お客様に感動していただける女優を目指して、 これからも走っていきたいと思います。 笹本玲奈公式ホームページ 目次に戻る |