2008夏特大号(No.36)湖月わたるさんインタビュー 宝塚を目指そうと思ったきっかけ 最初はテレビの舞台中継を見ていました。初めて生で宝塚の舞台を観たのは 小学校5年生の夏休みです。母に東京宝塚劇場に連れていってもらい、 麻実れいさん主演の『ジャワの踊り子』という作品を観て、 すっかり宝塚の舞台に魅了されて。それからは行けるときはなるべく観に行っていました。子供の頃はどういうタイプでした? 小さな頃から背が高かったので、幼稚園の時は小学生に間違われ、 小学生の頃は中学生に間違われていました。宝塚の舞台を観ていてもドレスが着たいとかそういうのは 全然なく(笑)、男役というものに憧れていたので自然と 男役の方に目が行っていましたね。 体を動かすのが好きで、小学校に入った頃から市民会館で リトミック体操を習っていたのですが、舞台を観始めてから バレエも習い始めました。自然な流れで宝塚に入りたいという 気持ちが芽生えました。 宝塚に入団し、やがてトップスターになりましたが、トップになって感じたことは? みなさんおっしゃると思いますが、トップになって 初日を迎えた時に歴代のトップスターの方々を尊敬しました。 皆さんこれをやってきたんだなぁと。 また、長い公演期間を演じるなか、体力が持つかなという 不安が頭をよぎるのですが、反対に皆さんが務めてこられたんだから 自分もがんばれるぞ!と思うようにしていました。 千秋楽にフィナーレで大きな羽根を背負って大階段を 降りてくる時は、何とも言えない充実感があり気持ちよかったです。退団して新しく挑戦したことは? ひとつひとつ出会う作品全てが新たな挑戦です。女性役に チャレンジするというのがまず初めてで、ミュージカルだけでなく ダンスだけで繰り広げられる世界や音楽劇という形など初めての経験を たくさんさせていただいています。共演者の方だけでなく、 演出も振付も毎回違う方たちと過ごすので、宝塚という世界で生きてきた 私にとってはとても新鮮な毎日です。退団して1年半が経ちましたが、宝塚を離れて感じたことは? 宝塚は大きな劇場があって稽古場があって、食堂から衣装合わせまでが その中で済むという環境でしたし、終演後舞台を借りて稽古を させて頂くこともありました。 今振り返ると、そういう環境を頂けたということは、本当に恵まれた場所 だったんだなと思います。退団後はいろいろなジャンルに挑戦していますが、ダンス公演もいくつか出演なさっていますね。 私は体を動かすことが好きで、動かしていないと調子が悪いというか 不安になってくるんですよ。ダブル(2回転)が回れないんじゃないかとか、 脚が上がらないんじゃないかとか。だから定期的に踊りたいと思っています。最近は、『DANCIN’ CRAZY』や『DANCE GALAXY vol.1 GILLE ジル』など、 ダンスと向き合える作品に出演できたことはとてもありがたかったです。 ミュージカルは作品によってダンスシーンがそんなに多くないことも あるので、汗を飛び散らして踊るようなことがなかなかなくて。 時々ダンス公演などで踊る機会があるとありがたいですね。 初舞台から20年。振り返ると… 宝塚を卒業した時点で18年。私にとって退団は大きな節目でした。今こうして20年を迎えられたということは、退団しても舞台を続けられる ということで、色々なことに挑戦する機会をいただいていることに とても感謝しています。そして今回、私の20周年記念公演を させていただけることになり、今の私の姿をご覧いただけるということが 嬉しいですね。 今お話にありました、湖月わたる20周年記念公演『ACHE エイク 〜疼き〜』はどのような作品になりそうですか? 心の疼きをテーマに、半身を求めて生きていくという内容になっています。 私も宝塚での男役を卒業して女優に転身しているところですけど、そんな中でも 『夜叉ヶ池』とか『DANCE GALAXY vol.1 GILLE ジル』で男性役をいただくこともあります。 男役とか女役とかそういう枠を超えて1人の人間として表現していくという そういう今の自分の姿とも照らし合わせて、自分を探していくという 芝居仕立てにしています。今の自分のこういうところを表現したいという 話を演出の大野先生(宝塚歌劇団・演出家)に話して演出プランを考えていただきました。もちろん20周年記念の公演ですので、宝塚時代の歌など懐かしいものも 盛り込んでいこうと思っています。先程ダンスの話もしましたが、 汗を飛び散らせて存分に踊るシーンも作りたいと思います。 宝塚時代からの仲間の、彩輝なおさんと星奈優里さんにも出ていただいて、 色々組んでやったりもしたいなぁと思っています。この公演を通して 今まで応援してくださった方々、ファンの方々と色々な思い出を共有しながら 現在の私の姿やこれからの可能性を感じていただける記念公演になったらと思っています。 12月には総勢30名の元タカラジェンヌが出演するミュージカル『愛と青春の宝塚〜愛よりも生命よりも〜』(新宿コマ劇場)に出演ですね。 『愛と青春の宝塚』のテレビドラマを見ましたが、宝塚を卒業したメンバーで あの作品をやらせていただけるというのはすごくありがたいことですし、 心を込めて大切に演じたいと思っています。宝塚歌劇団はもうすぐ95周年に なるのですが、私たちがこうして宝塚の生徒でいられたというのは、 戦争という時代の中でも先輩たちが懸命に宝塚を支えてくださったお陰だと 思います。現役トップスターの役なので、羽根を背負う場面もでてくるのかな。 まだ詳しいことは分かりませんが、どのような演出になるかも楽しみです。役作りはどうやってしていますか? カラミティ・ジェーンなど実在の人物の場合は、どんな方だったのかを 調べたりしますが、最初から色々映像などを見てしまうと先入観が でき過ぎてしまう気がするので、台本を読んで自分の中でイメージが できてから見るようにします。舞台以外ではまっていることは? キャンドルが好きで、食事のときや台詞を覚えるときに楽しんだり します。炎の揺らめきが異空間を演出してくれるので、気持ちがやす らぎ集中できるんです。読者の方にメッセージを 『ACHE エイク 〜疼き〜』という公演が間近に控えているので、 私を応援してくださっている方たちはもちろんご覧いただきたいのですが、 作品としても楽しめると思うので多くの方にご覧頂けたらと思います。 私をこのインタビューで知ってくださった方も、これを機に是非私の 出演している舞台を観に来ていただけたら幸いです。 劇場でお待ちしています!湖月わたる プロフィール
1989年宝塚歌劇団入団、『春の踊り』で初舞台。2003年に星組の主演男役
(トップスター)となり、お披露目公演である
『王家に捧ぐ歌(アイーダより)』では将軍・ラダメスを熱演。
文化庁芸術祭優秀賞を受賞。2006年宝塚歌劇団を退団。退団後は数々の舞台に
出演し活躍中。今年、初舞台から20年という節目の年となった。
私を抱く半身は、男性か…女性なのか…プラトンの『饗宴』をもとに、
時空を超え性を越えて、失われた半身を求め彷徨う魂の物語と、
湖月わたるの現在が交錯する、官能と幻惑のライブ・ステージです。
★日程:東京公演 7月6日(日)〜13日(日) ル テアトル銀座 by PARCO 大阪公演 7月18日(金)〜20日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ ★出演:湖月わたる、戸井勝海、星奈優里、坂本まさる、附田政信、 彩輝なお(友情出演)★作・演出:大野拓史(宝塚歌劇団)/ 演出・振付:前田清実 ★チケット:全席10,000円(未就学児童のご入場はご遠慮下さい) ★お問い合わせ:梅田芸術劇場 06ー6377ー3888 〈今後の出演予定〉
7月:湖月わたる 20周年Anniversary Passionate Play
『ACHE エイク 〜疼き〜』【ル テアトル銀座 by PARCO/梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ】/
9月:湖月わたる&ダンス・アーティストによるコラボ『Re-Birth』【クラブeX】/ 12月:『愛と青春の宝塚〜恋よりも生命よりも〜』【新宿コマ劇場】 目次に戻る |